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茨城大、大学発ベンチャーを認定 植物内生菌を活用した苗起点に農業の多角展開

茨城大学は、農学部の成澤才彦教授らが起業した㈱エンドファイトに対し、茨城大発ベンチャーとしての称号を付与した。7月14日に阿見キャンパスで称号授与式を行う。

㈱エンドファイトは、ビジョンとして〝全人類に食の幸福を生み出す企業〟となることを掲げ、植物の生育を支えるエンドファイト(植物内生菌)を活用した苗の販売を起点として、食糧危機解決、土地の再生、農業におけるカーボンニュートラルなどの実現につながる事業を多角的に展開することを目指している。

エンドファイトは、宿主植物の組織(葉、茎、根)に明らかな病徴を示さずに定着した菌類で、ヒトの腸内細菌と同じように植物の生育を支える働きを有する。成澤教授は、根部エンドファイト(DSE)を混ぜた土で作物を育て、これまでイチゴやトマト、テンサイなどのDSE接種苗を製造し、栽培試験を行ってきた。

その結果、DSE接種苗には生育の促進や病害への耐性といった効果が確認されている。成澤教授は、この技術を農業での収量増加やエネルギーコスト・肥料コストの削減につなげるため、産業化などの社会実装の機会を図り、茨城大研究・産学官連携機構(iRIC)とも相談を進めてきた。

こうしたなか、大学発スタートアップの支援や投資事業の経験をもつ風岡俊希氏が成澤教授の研究とビジョンに強い関心を示し、今年4月、風岡氏と成澤教授が共同創業者となって㈱エンドファイトが設立された。同社では風岡氏が代表取締役CEO、成澤教授が取締役CTOを務める。

㈱エンドファイトでは、まずは苗販売や再生農業の支援から事業を始め、今後は海外展開やDSEを活用した農法に関するライセンス事業などの展開も見通している。