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「生きた化石」が生まれる理由を方程式で構築 辺境ほど同じ形態を保つ(総研大)

総合研究大学院大学の伊藤洋特別研究員らのチームは、生物の新しいグループが「好適な環境から不適な場所に向かう流れが生じている」という仮説を記述するための新しい方程式を構築した。辺境ほど同じ形態を保ち、生活しやすい地域ほど進化の頻度が多いという。

数億年前の化石種と似た形態を持つシーラカンスなどの「生きた化石」と呼ばれる生物が生息している。それらがなぜ長期間存続しているのかは謎に包まれている。研究グループは生きた化石がどのように出現し維持されるのかを記述するための「適応前線方程式」を構築した。

方程式では、さまざまな生態的環境(ニッチ)が温度や湿度、水深などに沿って連続的に並んだニッチ空間を想定。中央の好適な環境を利用すると個体数が多く、離れた空間だと少なくなると仮定した。

この場合、中央のニッチを利用する種が高い頻度で突然変異個体を生産し、進化も早くなる。その結果、周辺の環境へ変異種が侵入して、先住の種は絶滅するか、さらに外の空間へ逃げていく。

これにより、最も辺境では進化的に革新せず、生きた化石となり近縁種との分岐も深くなることを示した。それらは新しいグループによって駆逐される運命にあるが、駆逐する側も辺境に適応するまで、長時間かかるため生きた化石が滅ぼされるまで時間がかかるという。

研究チームは「適応前線方程式は生物間相互に基づく仮説から化石記録で検証可能な予測を立てるための道具として役立ち、生命の進化史が内包する因果律の解明に貢献する」としている。