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専門医と多職種によるチーム医療で下肢創傷患者を救う「フットケアセンター」を順天堂大浦安病院が開設

順天堂大学医学部附属浦安病院は、より多くの下肢創傷※1の患者の救肢を図るべく、専門医と多職種によるチーム医療を実施する『フットケアセンター』を今年4月1日に開設した。

■フットケアセンターの治療 下肢創傷の治療のためには、まず「創(キズ)・虚血・感染」の3分野について評価する。必要に応じて血行再建を行い、創の程度により軟膏処置・デブリードマン(感染・壊死組織を除去し、創を清浄化することで他の組織への影響を防ぐ外科処置)・小切断や大切断といった処置を施行。また、創傷治癒のためには、血糖コントロールや栄養状態の改善なども非常に重要であることから、このような治療は単診療科では困難なため、各診療科の専門的な知識や包括的な判断を要する。

そこで、順天堂大浦安病院ではフットケアチームを設立し、各診療科の専門医と多職種が連携して包括的高度慢性下肢虚血(CLTI)の治療にあたっている。最近は腎・高血圧内科も加わり、吸着型血液浄化器を用いた新たな下肢創傷治療にも積極的に取り組んでいる。

■「フットケアセンター」開設の背景 近年、下肢血管の動脈硬化に起因する末梢動脈疾患の患者さんは増加の一途を辿っている。なかでも下肢の虚血などにより生じる足趾(足の指)の安静時痛や下肢潰瘍などの病態を有するCLTIの治療は、脳血管障害や心血管疾患の合併症も多く、その予後も悪いことから、こういった併存疾患は早期に発見して治療する事が非常に重要。

また、創傷が改善せず下肢切断となった場合の予後は更に悪いことが知られており、いかにして〝救肢〟を行うかということが大きな課題となっています。

CLTIの創傷治療に関しては①創部、②虚血、③感染―の三つの評価項目の頭文字(Wound, Ischemia, Foot Infection)から成る『WIFI分類』を用いて速やかにステージングを行い、PLAN(Patients risk estimation, Limb Staging,ANatomic pattern of disease)コンセプトに従って治療を行う事が末梢動脈疾患ガイドラインでも勧められている。