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【横国大】ライダーの感情を可視化する「感情センシングアプリ」を開発 ~産学共創の技術で、楽しく、安心・安全なバイクライディングを支援~

横浜国立大学大学院環境情報研究院の島圭介准教授は、ヤマハ発動機㈱、㈱ミルウスらと共同開発した独自のAIモデルを用いて、心電データをもとにヒトの感情を推定し、スマートフォンアプリで可視化する感情推定技術を開発した。感情推定技術の共同研究およびアプリケーションの開発は、バイクライフの楽しさの増幅と、安心・安全な運転支援を目的に進めているもの。この感情推定技術を応用したバイク向けアプリの実証実験は、今年後半から開始される見込み。

リストバンド、ウェアなどに搭載されたバイタルサイン・センサから得られるデータは、装着しているユーザの健康状態を可視化するツールとして広く使われ始めており、AI等の高度処理を適用することにより、心の状態も可視化可能となりつつある。

従来は脳波や表情などを用いて感情推定を行うことが一般的だったが、使用環境に制約があるライダーなどに適用することが難しい問題があった。今回開発した技術では、運転中のライダーなどのユーザに対して精度の高い感情推定を行うために、AIの学習にのみ脳波などの多様なデータを用い、実際の感情推定にはベルトやウェアに装着されたセンサで取得可能な心電データのみで感情を推定する独自の技術を構築。簡便に利用できるスマートフォンアプリとして実現した。

■イライラ感や眠気などを時系列でフィードバック 今回開発したアプリは、身体に装着したベルト型センサで心電データを計測し、感動・喜びやリラックスした状態、緊張など、ライダーの感情をリアルタイムでスマートフォンに表示することができる。推定された感情を地図上にプロットすることで、ツーリング先のビューポイントで得た感動や、複雑な交通環境での緊張、またイライラ感や眠気など、ライダーが行動を判断する上で参考となる心身状態を時系列でフィードバックする。

研究チームでは、開発した感情推定技術を応用したバイク向けアプリの実証実験を2023年後半より開始する見込み。また、この感情推定技術は、バイク向けアプリとしてだけでなく、さまざまなシーンで感動体験を可視化する方法としての活用が期待できる。