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妊産婦向けアプリで産後の抑うつ軽減 名市大研究Gが明らかに

対人関係療法に基づく妊産婦向けスマートフォンアプリを開発した名古屋市立大学大学院医学研究科精神・認知・行動医学分野の利重裕子氏ら研究グループは、アプリ開発を踏まえて、全国の初めて出産を迎える妊婦350人を対象にランダム化比較試験を実施し、アプリを利用した人の満足度と、抑うつ症状への効果を検証した。アプリを利用したグループの満足度を評価したところ、90.2%が事前に設定した基準を満たした。妊娠中の8週間では、二つのグループの間で抑うつ症状に明らかな差はみられなかったが、産後1か月では、アプリを使ったグループの方が、使わなかったグループより抑うつ症状が有意に低いことがわかった。手軽なアプリが、妊娠中から産後の心の健康を支える新たな手段となる可能性があることが確認された。

妊娠中から産後にかけてのうつ(周産期うつ)は、世界的な健康課題となっている。妊娠中のうつは、早産や低出生体重、自殺関連行動のリスクを高める。また、産後うつのリスクを高めることも知られている。

このため国際的なガイドラインでは、うつを予防するための心理的支援が推奨されている。対人関係療法や認知行動療法は、周産期うつの治療と予防に効果があると示されているが、対面での心理療法は、時間の制約や専門家の不足、費用の面から利用が難しい場合がある。

こうしたことから、スマホアプリは、より手軽に多くの人へ届けられる手段として期待されている。

研究対象は、パートナーがいる18〜39歳の初妊婦で、妊娠16〜28週の妊婦。参加した350人を、アプリを使うグループ(176人)と通常の妊婦健診のみのグループ(174人)に無作為に分けた。アプリでは、チャットボットと対話しながら、週1回5〜10分のレッスンを8週間続けた。気分の記録や、身近な人間関係を図にする機能もある。

アプリを使ったグループは8週間で平均約36日アプリを開き、8回のレッスンのうち平均7.45回を終えた。満足度を測る質問票で評価したところ、8週後に回答した174人中157人(90.2%)が事前に設定した基準点を満たした。

抑うつ症状は、開始8週後(妊娠中)には二つのグループの間に有意な差はみられなかった。一方、産後1か月では、アプリを使ったグループの得点が、使わなかったグ ループより 1.01 点低く、統計的に有意な差がみられました。周産期の抑うつ症状を評価する質問票でも、産後1か月で同様の差(1.51点)が確認された。

妊娠中の時点で軽い抑うつ症状があった人では、アプリ群でより良好な変化がみられた。ただし、この研究成果は探索的な分析で、アプリとの関連が疑われる有害事象は明らかにならなかった。