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「実験のラストマイル」をAIでつなぐ「アシスタント」開発 現場ノウハウを動画から手順書にし、「根拠がなければ答えない」実験支援(北大)

北海道⼤学⼤学院⼯学研究院の三浦 章教授らの研究グループは、実験室で⼈が⾝につけている現場固有の運⽤知識を、実演動画から⼿順書にし、⼈が承認した⽂書だけを根拠に質問へ答え、根拠がなければ推測しないAIアシスタントの仕組みを開発した。

新しい学⽣や新⼊社員に、論⽂と⼿順書だけを渡して実験を進めることは困難。その現場でしか通⽤しないルール、装置の状態を⾳や表⽰灯で⾒極める判断、試料の置き⽅のような細かな操作など、⽂書化されにくい知識が重要な役割を果たすため。

これらは⼿順書には書かれず、先輩から後輩へ⼝頭と実演で伝えられ、⼈が⼊れ替わるたびに失われてきた。

研究グループは、論⽂や説明書のような正式な⽂書と、確実な実験の実⾏に必要な知識との隔たりを「実験のラストマイル」と名づけ、対象の作業ごとに専⽤の装置やセンサーを導⼊することなく、これを継承する⽅法を⽰した。

この研究では、粉末X線回折(pXRD)装置の操作を題材とし、⼀⼈称視点で撮影した操作動画を、企業が構築した動画解析AI(マルチモーダルAI)の処理パイプラインで⼿順書に変換した。また、指導教員が確認・承認してから知識源とするヒューマン・イン・ザ・ループの運⽤とした。

回答は、承認済み⼿順書だけを根拠とする検索拡張⽣成(RAG)と、根拠がなければ推測させないプロンプト制約の⼆層で制限し、書かれていないことは答えずに指導教員への相談を促す。

105問の試験では、範囲外・安全回避の86問中83問(96.5%)で⼿順を⽣成せず安全に応答し(安全な拒否)、根拠のない内容や危険な操作は⼀度も⽣成しなかった。

この研究成果は、熟練者の退職や担当者の異動で失われる「暗黙知の形式知化」と技能伝承、業務の属⼈化の解消という製造業・研究開発の共通課題に対し、⼤きな設備投資を伴わない解決への道筋を⽰すもの。

この研究成果は、10⽉17⽇公開のDigital Discovery誌にオンライン掲載された。