◇研究のポイント
○日本全国の2011~19年の入院データを解析し、極端な暑さと寒さのいずれも、急性腎障害による緊急入院のリスクを高める可能性を明らかにした。
○急性腎障害による緊急入院のリスクは、極端な暑さで2.21倍、極端な寒さで1.24倍。さらに、暑さの影響は働く世代の男性で、寒さの影響は高齢者で大きいことが示された。 〇この研究成果は、極端な暑さや寒さが予想される際の急性腎障害の予防や医療提供体 制の整備に加え、年齢や性別に応じた注意喚起や予防策の重要性を示している。
東京科学大学(Science Tokyo)医歯学総合研究科地球環境医学分野のアイペリ・ アサンベク・キジ博士後期課程学生、那波伸敏教授、さらに公衆衛生学分野の藤原武男教授らの研究チームは、2011年から2019年までに収集された全国規模の入院データを解析し、暑さや寒さへの曝露が、急性腎障害による緊急入院のリスクを高める可能性があることを明らかにした。
急性腎障害は、脱水やその他の身体的ストレスなどをきっかけとして、腎臓の働きが急激に低下する病態で、短期的にも長期的にも重篤な健康影響をもたらすことがある。しかし、日々の暑さや寒さといった気象要因が、急性腎障害による入院リスクにどのような影響を及ぼすかについては、これまで十分に明らかになっていなかった。
この究では、極端な暑さと寒さのいずれも、急性腎障害による緊急入院のリスクを 高める可能性が示された。これらの結果から、暑さや寒さへの曝露を減らすための対策を講じることや、極端な気温が予想される際に医療提供体制を整えることの重要性が示唆された。
この研究成果は、10月20日付(現地時間)に国際曝露科学会の公式ジャーナル「Journal of Exposure Science and Environmental Epidemiology」に掲載された。