国文学研究資料館は、昨年から世田谷文学館(東京都世田谷区)が所蔵する宇野千代自筆資料33点(計1673枚)の高精細デジタル化に取り組み、8月25日に国文研の「国書データベース」で公開した。今秋スタートの宇野千代をモデルとしたNHK連続テレビ小説『ブラッサム』の放送を控え、関心が高まるタイミングでの資料公開。今回の公開は両館の協力による宇野千代資料公開の第一弾であり、今後も継続して公開を続けることとしている(画像一覧 https://kokusho.nijl.ac.jp/page/list-SEBU-unochiyo.html)。
国書データベース(https://kokusho.nijl.ac.jp/)は、国文研が構築するもので、国内外の多くの機関等及び国文学研究資料館が所蔵する資料の書誌情報と、その一部の高精細画像を一度に検索・利用できるデータベース。無料で公開しており、誰でも利用できる。
宇野千代(1897~1996)は山口県に生まれ、朝鮮、京都、東京、さらに札幌を転々とし、新聞懸賞小説に応募した『脂粉の顔』、時代の雑誌「中央公論」に送った『墓を発あばく』でデビュー。以後、『色ざんげ』『おはん』『水西書院の娘』『刺す』など、結婚や恋愛 の機微を描いた傑作を残した。
さらにベストセラーとなった『生きて行く私』をはじめとする随筆、起業した出版社「スタイル社」「文体社」での編集者・経営者としての活動、また「宇野千代きもの研究所」でのデザイナー活動など、昭和期には多彩な文化活動でも知られた。淡彩の、それでいて心理と文化の深みにもぐりこむような宇野千代の文体は、今日なお多くの作家・読者に愛されている。
宇野千代の原稿は、2023年度に㈱宇野千代の藤江桂子氏から世田谷文学館が寄贈を受けたもの。原稿をはじめ、直筆資料や遺愛品など2000点以上の宇野千代関連資料があわせて収蔵された。
大正時代から現代にかけて幅広い領域で活動した宇野千代の文学は、わが国の家族、性、ビジュアル・イメージ、高齢化社会について考えるための貴重な資料。