東邦大学医学部の西脇祐司教授らの研究グループは、東京都の過去11年間(2015~2025年)の熱中症救急搬送データを解析し、暑さ指数(WBGT)の影響を調整しても、救急搬送人員数は平日、週末・休日、休日明けで異なり、特に平日と比べ、65歳以上では休日明けに1.13倍、18歳未満では週末・休日に1.80倍多いことをつきとめた。
これまで、仕事や学校、スポーツ、余暇活動など、曜日や休日による行動の違いが熱中症の発生に影響することは経験的に想定されてきたが、その影響は十分に定量化されていなかった。
同研究は、暑さの影響を考慮した上でも、熱中症の発生パターンが平日、週末・休日、休日明けで異なることを初めて定量的に示したかたちとなる。
今回の結果は、気象条件に基づく従来の注意喚起に加え、曜日や休日に伴う行動パターンを考慮した予防啓発や対策が重要であることを示している。
この研究成果は、国際学術誌「Environmental Health and Preventive Medicine」に8月7日に掲載された。
熱中症の発生には、気温、湿度、輻射熱などを総合的に評価する暑さ指数(WBGT)が強く関連することが知られている一方、同程度の暑さであっても、人々の行動や活動内容によって熱中症のリスクは異なる可能性がある。
例えば、仕事や学校、スポーツ、余暇活動などは、平日と週末・休日で大きく異なるが、休日明けには日常生活が再開し、行動パターンが変化する。
しかし、暑さの影響を調整した上で、熱中症による救急搬送が平日、週末・休日、休日明けで異なるかを定量的に検討した研究は、これまで見られなかった。
同研究では、65歳以上は週末・休日の救急搬送が少ない一方、休日明けには増加する特徴的なパターンがみられた。
これは、週末の医療機関へのアクセスが限られることによる受診の遅れに加え、仕事や日常活動の再開に伴う暑熱曝露の増加などが関与していた可能性がある。
また、休日を挟むことによる暑熱順化の一時的な低下が、熱中症へのかかりやすさに影響した可能性も考えられる。
一方、18歳未満で週末・休日の救急搬送が増加した背景には、スポーツや屋外活動への参加機会の増加が影響していた可能性がある。
ただし、同研究では個人の職業や具体的な活動内容、暑熱順化の状態を把握していないため、これらのメカニズムについては仮説にとどまり、今後さらなる検討が求められる。
従来の熱中症予防では、WBGTなどの気象条件に基づく注意喚起が広く行われてきたが、今回の研究結果はこれまでの取り組みに加え、曜日や休日に伴う行動パターンや年齢による発生パターンの違いを踏まえ、対象者とタイミングを意識した予防啓発や対策を検討することの重要性を示している。
今回明らかとなった視点を取り入れることで、今後より効果的な熱中症予防が期待される。