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「悪い炎症」のみ抑える新治療法に光、大阪大教授らが炎症の「暴走スイッチ」を解明

大阪大学大学院歯学研究科の村上智彦准教授らの研究グループは、細胞内ストレスの一種である小胞体ストレスにより、炎症のアクセルが強まる一方でブレーキが弱まり、炎症が止まりにくくなる「暴走スイッチ」を解明した。

今回の発見により、歯周病や関節リウマチなどの慢性炎症性疾患に対し、生体防御に必要な「よい炎症」を残しながら、過剰な「悪い炎症」だけを抑える治療法の開発につながることが期待される。

炎症は、細菌やウイルスから体を守り、組織を修復するために必要な反応である一方、過剰になったり長引いたりすると、歯周病や関節リウマチなどの慢性炎症性疾患につながる。

そのため、炎症の「良い面」を保ちながら、過剰な炎症だけを抑える仕組みを理解することが重要となる。

小胞体は、細胞内でタンパク質を正しい形に仕上げる「工場」のような役割を担っているが、ここに過剰な負荷がかかると、小胞体ストレスと呼ばれる状態に陥る。これまで、慢性炎症性疾患の患部では、小胞体ストレスが高まることが知られていたものの、それが炎症の増悪や慢性化にどのようにつながるのかは十分に分かっていなかった。

今回、研究グループは、炎症関連細胞であるマクロファージを用いた遺伝子発現の網羅的解析と、複数の遺伝子改変マウスを用いた解析により、小胞体ストレスが炎症の「アクセル」(IκBζとXBP1s)を強める一方で、炎症の「ブレーキ」(Regnase-1)を弱めることを発見。その結果、IL-6などの炎症因子が過剰に増え、炎症が止まりにくくなることをつきとめた。

さらに、小胞体ストレスがかかったマクロファージでは、炎症を鎮め、組織修復を助けるタイプのマクロファージ(M2型)への分極も妨げられていたことから、炎症を終わらせる仕組み自体を阻害することで、炎症を止まりにくくしているものと考えられる。

今回の研究成果により、炎症反応全体を抑え込むのではなく、増悪・慢性化した炎症応答を選択的に抑える、新たな治療法の開発につながることが期待される。

なお、この研究成果は、6月27日に米国科学誌「The Journal of Immunology」にて公開された。

細胞内の小胞体ストレスが炎症を増悪・慢性化させる