横浜市立大学は㈱ディー・エヌ・エー(本社:東京都渋谷区、DeNA)との間で、今年3月に締結した包括連携協定に基づき同年6月から同大附属病院内に2年間の共同研究講座を設置し、医療現場のDX推進に向けた具体的な取り組みを開始した。
DeNAからは6名の社員が共同研究員として参画し、院内の医師・看護師・医療事務担当者に密着して現場課題を調査・把握したうえで、新たな医療DXモデルの構築を進める。今年中に初期モデル(α版相当)、来年中に実用モデル(β版相当)の策定を目指し、順次、現場での実証と改善を重ねながら展開する。
横浜市立大学附属病院を含むわが国の医療現場では、医療情報システムが施設・部門ごとに個別最適化されてきた結果、データ連携が難しく、医師・看護師が情報入力や確認作業に多くの時間を費やす状況が続いている。
また、部門ごとにデータが分断されているため、研究への活用も困難という課題がある。ここ数年は国として全国医療情報プラットフォームの整備が進み、本格的な医療DXが実現する段階を迎えているが、医療機関単独での大規模DX推進には制度面・セキュリティ面での制約も多く、産学連携による高度化の取り組みが求められていた。
両者は2022年8月にデータサイエンス分野の産学連携協定を締結して以来、共同研究やイベント開催を通じて連携を深めており、今年3月の包括連携協定締結を経て、今回の具 体的なプロジェクトを始動した。
事業内容をみると、今年6月から2年間にわたり同大附属病院内に共同研究講座を設置する。DeNAから6名が共同研究員として所属し、院内の医師・看護師・医療事務担当者の業務に密着。DXで改善できる点を調査 したうえで、医療DXモデルの具体化につなげる。
また、患者の受診から入院・退院までの「患者ジャーニー」全体を俯瞰し、問診・情報入力・部署間の情報共有・看護記録・外来と病棟間の連携など、繰り返し発生している業務の非効率を可視化。患者にとっては待ち時間や手続き負担の軽減、医療従事者にとっては業務負担の軽減を目指し、今年中に初期モデル(α版相当)、来年中に実用モデル(β版相当)を策定し、現場での実証につなげる。
さらに、院内業務改善チーム・地域連携推進チームの設置する。診療科・看護部等が参画する「院内業務改善チーム」が院内の現状調査とDX実践を担い、「地域連携推進チーム」が地域医療機関・自治体との連携モデルの検討・実現を推進。将来的には神奈川県内の病院や診療所との連携拡大も視野に入れている。
このほか、電子カルテ・医用画像・バイタル・ゲノムデータなど多様な医療データを統合し、研究・病院経営・教育の各領域で活用できるプラットフォームのあり方を共同で研究・顕彰する。インターネットとAIを活用して機能を継続的に追加・更新できる設計や、従来の初期投資型から診療実績連動型へと転換を図る新たな費用モデルなど、医療機関の導入負担を軽減する次世代の基盤を検討。まず横浜・神奈川でのモデル構築から始め、将来的には全国の医療機関へ展開可能な汎用モデルとしての確立を目指す。