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メトロノームで歩数や幅を調節 ダッシュ練習で応用可 早大

実験の様子(提供:礒繁雄教授)

早稲田大学の長谷伸之助大学院生や礒繁雄(いそ・しげお)教授らの研究グループは11日、メトロノームを使った短距離走の調整効果を明らかにした。アスリートのより効果的なトレーニング方法の実現に寄与する可能性があるという。今後はどのようなテンポまで選手が音と動きを同期できるかを探りたい考えだ。

スポーツマンにとって、練習方法の改善は重要な課題だ。先行研究ではメトロノーム音が低速度によるジョギングの歩数に影響を与えることが報告されていたが、高速度スプリントによる検証は十分ではなかった。

今回の研究では中学生を対象として素早く走るスプリント走を実施。最中にメトロノーム音の「音なし」と「10%速いテンポ」、「10%遅いテンポ」で流して、歩数や移動距離などをカメラで確認、比較した。その結果、速いテンポで歩数が増加。遅いテンポでは歩数は減ったが一歩の移動距離は増していた。

グループは新たな指導方法として、「ストライド(歩幅)を伸ばしたい」という希望があれば自身のピッチ(歩数)よりも遅いテンポのメトロノーム音を聞きながら走ることで歩幅を増加させられると紹介している。歩数を増やしたいのであれば早いテンポのメトロノーム音で練習することで効果が得られる可能性があるという。

礒教授は「これまで主に持久走などで効果が報告されてきたリズミカルな音がスプリント走のような速い速度が求められる運動においても、選手の走り方を変化させる力を持つ可能性が示された」と説明。「テンポの音楽などを聞くだけでピッチやストライドが変化するのであれば、新たなトレーニングアプローチになる可能性がある」とした。