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QSTが世界初 小型がん治療用新型イオン入射装置の原型機完成

国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(QST)は12日、関西研究所で小型重粒子がん治療装置「量子メス」実現のための、新型イオン入射装置の原型機を世界で初めて完成させたと発表した。

QSTの榊泰直上席研究員や住友重機械工業の小島完興主任研究員らは、共同研究にてレーザー・プラズマ加速器を用いたレーザー駆動イオン入射装置の原型機を作り、量子メスの実現に向けた統合実験を進めている。

レーザーイオン加速は、2000年に本格的な実験結果の報告がなされて以降、世界中で学術研究が進められてきた。しかし、この技術を社会的用途がある装置に実装する試みはなされてこなかった。このような背景の中で、QSTの前身である日本原子力研究開発機構(JAEA)の関西研が中心となり、レーザーイオン加速を世界に先駆けて加速器として実用化。加速器を社会実装することを目指した研究開発を進めてきた。

研究グループは「今後3年間をめどに、実験データとシミュレーション結果の両面から、最終的な量子メスのデザインを確定する予定であり、量子メス開発はいよいよ最終形の設計に向け大きく前進する」とコメントした。