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京⼤、㈱⽇本総研、京⼤オリジナル㈱が協定 CNの実現⽬指し連携

京都⼤学、㈱⽇本総合研究所、京⼤オリジナル㈱は、カーボンニュートラルの実現に向けた産官学の広範な連携体制の構築や共同研究や新規事業の創出を⽬的として、三者による協業活動の協定を締結した。同協定で三者は、京⼤が開発中の各種の技術シーズからカーボンニュートラルの実現に必要なものを⾒極め、それらと⺠間の知⾒を組み合わせることで、新たな技術の実⽤化を図り、そこから新たなサービス、さらにはインフラを創出することを⽬指す。

■協定締結の背景・目的

京都大では、2050年カーボンニュートラル(CN)の実現に欠かせない、CO資源化技術をはじめとした革新的な技術シーズについて数多くの研究を進めている。ただし、それらを活用した商品やサービス、産業を創出し、そのためのビジネスモデルを構築するには、民間の知見の活用が欠かせない。

この協定は、産官学連携体制で大学の技術や知をCNの実現に向けたビジネスや産業に還元することを目的とするもの。革新的な技術や知を有する京大、社会課題解決に向けたビジョン策定から共創の場の創出までを行う日本総研、さらに大学の知の社会への橋渡しを推進する京大オリジナルの三者が連携する。また、将来の新たな課題に対して、機動的に対応していくためのプロセスづくりについても検討する。

■協定の概要

CNの実現には、取り組みをサプライチェーン全体で行うことが必要。しかし今のところ、取り組みのほとんどが、再生可能エネルギーやそれを利用したグリーン水素の製造、さらに、COを回収して地中に埋めるCCUといった、資源やエネルギーのサプライ側を中心としたものであるのが実態。

そこでこの協定では、例えば、食品産業の製造過程で発生する廃棄物などについて、バイオマス資源やプラスチックや建材などに転換する仕組みの構築を行うなど、デマンド側の取り組み(デマンド・ドリブン)を推進する。京大の技術シーズを中心に民間企業の持つ知見をすり合わせながら活用し、炭素循環(カーボンサイクル)が構築できる新しいインフラの整備を目指す。

協定締結に先立ち今年9月、三者はカーボンサイクルイノベーションコンソーシアム(CCIコンソーシアム)を、活動の第一歩として設立した。将来、再生可能エネルギーが主要エネルギーとなった場合、化石燃料の利用が激減することになるため、CCIコンソではそのための新たな炭素循環(カーボンサイクル)の仕組みを検討する。

製造業やバイオマス発電所などから排出される、現在は利用されていないCOと廃棄物系バイオマスなどを資源として、カーボンサイクル拠点で化学材料や飼料や燃料などに転換するといった、一次産業と二次産業が連携した形による新たな産業インフラの構築を目指す。

CCIコンソには製造業や建設業などの民間企業、地方公共団体が参画し、関連政府機関とも対話を行いながら、産官学一体となって活動を展開する。