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東北大病院、未来の医療のための病棟「先端治療ユニット」を開設 日本の医療をリードする病院として病棟機能充実へ

■発表のポイント■

◎治験をはじめとする先端的治療をより安全に実施・提供する環境を整備

◎各疾患や治験に関する専門的な知識と経験を備えた医療チームが先端的治療を安全かつ円滑に提

◎治験に特化した病床設置は東北地方では初の試み

治験をはじめとする新たな治療法の開発や、難易度の高い先端的な治療の提供では、患者の安全を第一とした高い倫理性と研究を行うための確かな医療技術に加え、さまざまな規制をクリアしながら効率的かつ確実に運用するための十分な体制が必要。

東北大学病院は、治験をはじめとした先端的な治療を提供するための専用病棟『先端治療ユニット』を開設した。今回設置した『先端治療ユニット』は、通常の医療より高度な対応が必要となる治験患者や先端的な治療を受ける患者専用の病床。専門的な知識や経験を備えたスタッフを配置することにより、難易度の高い治療を安全かつ効率的に提供することが可能となる。

今年6月1日付けで26床を設置後、運用上の問題点等の確認・改善を行い、9月上旬に全ての病床の準備が完了、先端治療ユニットとして本格稼働を開始する。

東北大病院では、同ユニットの整備により、新たな医療の開発及び提供をこれまで以上に積極的に推進し、同病院の理念である〝患者さんにやさしい医療と先進医療との両立〟の実現に努める方針だ。

■ユニット新設の背景

既存の治療が十分に効かなかった患者にとって、薬事承認されていない新たな治療法は希望の光となる。しかしながら、治験をはじめとした新たな治療法(薬剤、機器、手術方法等)の開発は、患者の安全を第一とした高い倫理性、研究を行うための確かな医療技術等に加え、さまざまな規制をクリアしながら治験が効率的に確実に運用されるための組織としての十分な体制が必要になる。

最近の新しい薬剤等による治療研究ではこうした運用が複雑化し対応が難しいものが増えており、これまでのように一般病床で、通常治療の患者さんと一緒に、特殊な運用や対応が必要になる最新の治療である治験を行う事が少しずつ困難になってきている。

■今回の取り組み

東北大病院ではこれまで、コロナ専用として運用を行っていた病棟を5類感染症移行後に機能転換し、未来の医療のための新たな病棟として「先端治療ユニット」を設置した。この病棟では、難しい対応が必要とされる治験患者を一か所に集め、治験に特化したスタッフを配置することにより、専門性の高い治験を行うことができるようになる。

こうした専門的な治療を行える病棟を稼働させるために、2022年度後半からワーキンググループを立ち上げ、医師・臨床研究コーディネーター・看護師が中心となって準備を進め、今年6月1日に病棟の稼働を開始、9月からは「先端治療ユニット」として本格稼働する。

疾患に対してはもちろん、治験に関しても専門的な知識と経験を備えた医療チームが難易度の高い治験を安全かつ円滑に、さらに患者のニーズに合わせた個別医療を提供している。

■今後の展開

東北大病院は、全国に15施設ある医療法に基づく「臨床研究中核病院」の一つに指定されており、国際水準の臨床研究や医師が主導する治験の体制を整備し、革新的医薬品・医療機器開発の中心的役割を担っている。現在も国内で、トップクラスの治験の受託数を誇っているが、先端治療ユニットが稼働することによって、製薬企業から同病院に依頼される治験がさらに増えることが期待される。

これは患者にとっても新たな最先端医療に触れる可能性が増えることを意味し、大きな福音となる。

また、治験で得られた経験は病院としても重要で、数年後に承認され、一般診療に扱われるようになるであろう新規薬剤の治療を先んじて経験することになることから、一般診療でも常に最先端の医療を行い、日本の医療をリードする病院としての機能が充実されることにもつながる。

また、東北大病院では、東北大独自に研究をしている患者に一度も使用されたことがない、まったく新たな治療法が開発されている。今後、企業がリードする企業主体の治験のみでは難しい、アカデミアでしかできない世界初の治療法に対する早期の臨床試験を安全に行う病棟としての役割にも対応することを準備中。