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高齢者施設におけるパーキンソン病の転倒予防アセスメント構築に向けた観察研究と業務プロセス改善へ向けた取組みを開始~超高齢社会における介護・医療サービスの進化と変化を目指して~【順天堂大】

順天堂大学神経学講座、㈱サンウェルズ、グローリー㈱は、サンウェルズが運営する住宅型有料老人ホーム「PDハウス」に入居するパーキンソン病(PD)患者を対象に介護ロボットを活用した転倒パターンの把握及び転倒要因解析のための観察研究を通じ、業務改善プロセスの取組みを開始した。

順天堂大、サンウェルズ、グローリーは今後、医療と介護の連携により研究で得られた知見を基に蓄積した行動データから特徴的な転倒パターンを明らかにし、転倒予防アセスメント構築と施設スタッフの業務プロセス改善に取り組み、これからの新たな介護サービスの創出を目指す。

□研究の取組み意義と背景

パーキンソン病やパーキンソン症候群は、ふるえ、動作緩慢、筋強剛、姿勢反射障害等の運動症状や自律神経障害や睡眠障害などの非運動症状がみられ、PD 患者は転倒頻度が一般高齢者とくらべて高いことが知られている。背景にはPD症状である無動、筋強剛、姿勢反射障害、起立性低血圧、前頭葉機能障害があり、その中でも特に姿勢反射障害やすくみ足は治療に反応しにくく、転倒予防を図っていくことが求められている。

しかし、転倒予防の方法に確立されたものはなく、要因分析と方法の確立が重要。特に介護施設では、スタッフの目が届かない、利用者の居室での転倒頻度が高く、対応が急がれている。

□本研究の目的

この研究では、居室内にグローリーが開発した転倒検知システム mirAI-EYE(ミライアイ)を設置し、サンウェルズが運営するPDハウスに入所中の頻繁に転倒を繰り返すPD患者を対象にモニタリングを実施している。

居室内での転倒が発生すると、ミライアイが検知、転倒に至るまでの行動データを蓄積、PD患者の特異的な行動や転倒に至る動作分析を行い、転倒事故における発生要因やPD患者独自の転倒パターンを把握、施設で運用可能な転倒予防アセスメントの構築を目指す。

また、アセスメントの実践と改善を積み重ねていくことで、施設の業務プロセス改善に繋げる計画だ。

□将来的な取組みと目指す世界

⑴PD患者の転倒に至るアセスメントの構築による施設サービス品質の向上

⑵施設スタッフの業務プロセス改善による介護 DX の推進や PD 患者の運動機能の改善による転倒予知・予防の取組などの新たな介護サービスの進化

⑶施設や在宅問わず、遠隔診療における患者の症状の進行度合いや状態を把握し、診断支援

が可能となる仕組みの構築。

今後、三者は、PD患者の転倒に至るメカニズムの解明を通し、介護サービスの向上に取り組むとともに、超高齢社会での介護・医療サービスの進化と創出を目指す。