岡山大学病院とNPO法人日本腎臓病協会、田辺三菱製薬との共同研究において、血糖低下作用のあるSGLT2阻害薬「カナグリフロジン」が糖尿病関連腎臓病の進行を抑制する新しい作用メカニズムを発見した。
SGLT2阻害薬は細胞の糖の取り込み口であるSGLT2の動きを妨げて、糖吸収を抑制する薬剤。そのため細胞内の糖濃度が低下し、細胞の糖が枯渇した時に発現する「GRP78」が増加すると考えられた。
特に小胞体に存在するGRP78は小胞体の働きに大切であり、カナグリフロジンは細胞内のCa²をその貯蔵庫である小胞体に戻すポンプ「SERCA」の機能に作用し、細胞内のCa²⁺濃度の恒常性維持に関わることが分かった。
研究グループは「今回明らかにしたカナグリフロジンの新しい作用メカニズムは、血糖改善作用とは別に尿細管細胞を保護する可能性を示唆する」としている。