名古屋大学の甘靖超准教授と総合地球環境学研究所の真貝理香外来研究員は、長野県伊那谷(いなだに)のニホンミツバチの現在の伝統養蜂と1990年からの変遷に関する民族誌映像を制作して名大のYouTubeチャンネル(https://www.youtube.com/watch?v=-gHg179nJbY)で公開している。
動画では90年代に高校教諭として養蜂を調査した岩崎靖さんと巣箱を横にしてミツバチを飼う「横置き型文化圏」である長野県大鹿村(おおしかむら)を訪れ、30年間の変化を追いかける。
村は2010年頃からミツバチの気管に寄生する「アカリンダニ」の被害を受けてハチが激減。ダニ対策がしやすい巣箱に変える飼育者がいる一方で、伝統的な方法を望む人もいる。91歳のある養蜂業者は「ハチがいて当たり前のものから尊い存在になった」と話し、有効なダニ対策を模索しているという。
甘准教授らは「地域に根差した養蜂分化を知ることで、ニホンミツバチの減少や生態系との関わりなど研究を進め、行政などと連携して持続可能な地域文化と自然保全活動に寄与する」と意義を述べている。