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メチル水銀が嗅覚系神経を傷害 岡山大研究Gが突き止める 水俣病の嗅覚異常の病態解明に貢献 

岡山大学と国立水俣病総合研究センターの研究グループは、メチル水銀にばく露したマウスが、嗅覚に関与する脳領域や神経細胞が傷害されていることを初めて突き止めた。今後の水俣病の診断などで成果の応用が期待されている。

水俣病は重度のメチル水銀中毒によって発症する神経疾患で、知覚鈍麻や運動失調、視野狭窄などが起こる。未解明な問題点が多く残されており、その1つに患者の嗅覚障害が知られているが、その病態や責任病巣は明らかになっていなかった。

研究グループは水俣病の嗅覚障害は脳の異常に起因するのではないかと推測。そこで、メチル水銀の毒性研究に使われてきた実験用マウスを用いて、メチル水銀ばく露群とコントロール群を設定し、嗅覚に関与する脳領域の組織形態を詳細に比較した。

その結果、においを感じ取る重要な部位「嗅球」において、においコントラストの調節に関与する顆粒(かりゅう)細胞がメチル水銀に弱いことが明らかとなり、大脳皮質の嗅覚野に相当する領域においても神経細胞死が生じていることを観察した。

細胞死がみられた領域では、神経細胞の維持や機能発現を助ける「グリア細胞」が活性化されていた。グリア細胞の活性化は、アルツハイマー病で細胞死に関わるという考え方があり、水俣病で脳の傷害を表す重要な指標になると考えられる。

研究グループの飯島悠太大学院生は「今後は嗅覚障害という新しい切り口で、メチル水銀の健康被害等に遭われた方々に役立つ研究が展開されることを願っている」としている。