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ひ臓にメッセンジャーRNAを送り届けるナノ粒子 東京医歯大が共同研究で開発 ワクチンとしての有用性実証 

東京医科歯科大学は京都府立医科大学など4機関と共同で、ひ臓にメッセンジャーRNA(mRNA)を送り届けるナノ粒子を開発した。mRNAワクチンとしての有用性を実証している。

mRNAを送達する方法として、新型コロナウイルスのmRNAワクチンでも用いられた脂質からなるナノ粒子が主に用いられている。だが、脂質性のナノ粒子は肝臓へ移行しやすい性質を持つほか、副反応を起こしやすいといった課題があった。

研究グループはポリエチレングリコール(PEG)とRNAを結合させた。PEG-RNAは決まった数だけ、mRNAを調整できる。その後、高分子と混合することでナノ粒子を調節することに成功している。この方法を使えばPEG密度を簡単に制御できるという。

表面のPEGの密度や長さの異なるナノ粒子を調製し、マウスへ投与することでその機能を調べた。血管を観察したところ、血液に投与してから1分以内にな凝集塊を形成した。結果的に、肺の血管を閉塞させmRNAを送達できていた。

一方で、PEG化することで、血液中での凝集や肺血管の閉塞を防ぐことができたが、長いPEGや高密度のPEGで被覆したナノ粒子は細胞との接着が抑制されるため、全身のどの細胞に対しても、mRNAを効果的に送ることができなかった。一方で、適切な密度のPEGがかぶさったナノ粒子は、ひ臓の細胞に効率的にmRNAを届けられていた。

研究グループは「高分子を用いたmRNA送達システムのワクチンへの有用性を実証することで、今後、より安全かつ効果的なワクチン開発を目指す上での礎を築くことができた」とし「今後、システムの更なる機能向上や、がんなど疾患モデルへの展開により、実用化を目指す」と説明している。