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降雨が海洋無酸素事変の引き金 東北大研究Gが初発見 白亜紀中期の海洋生物の大量絶滅を推測

東北大学と福井県立大学、英ダラム大学の研究グループは、地球規模の環境変動「海洋無酸素事変2」の期間に堆積した世界で最も厚い地層を北海道苫前(とままえ)町で発見した。それにより、白亜紀に7回の巨大噴火が起きたと観測され、海洋生物の大量絶滅はそれによる降雨の増加が原因と推察されている。

9390万~9450万年前に急激な地球温暖化による全地球規模の環境変動が起こったことが知られている。これは海洋無酸素事変2と呼ばれ、巨大火山の噴火により、たくさんの二酸化炭素(CO₂)が温暖化を起こし、海洋生物を絶滅させたと考えられている。

研究グループが発見した地層(蝦夷層群)は、アジア大陸東沖の北西太平洋の半深海で堆積したと推測される。この場所で分析を行った結果、この時期には7回の巨大火山噴火があり、火山ガスを介して多くのCO₂が放出され、温暖化と一部の地域での極端な湿潤化が起こったことが明らかになった。

特にアジア大陸東部の降水量が大幅に増加し、栄養塩がアジア大陸から太平洋へと流出した結果、世界中の海洋の溶存酸素が低下した可能性が高いことが判明している。降水量の増加は、東アジアの植生を裸子植物優勢の森林から被子植物優勢の森林へ変えたことも突き止められた。

3大学は「今回の研究結果は、アジア大陸東部の降雨の増加が世界規模の海洋無酸素事変の引き金となった可能性を初めて実証した点で重要だ」と講評している。