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新技術PS-OCTで強膜の線維構造 東京医歯大が企業と可視化 眼球変形疾患の新治療に貢献

東京医科歯科大学の大野京子教授と五十嵐多恵助教は、眼科検査機器の「トーメーコーポレーション」との共同で、眼疾患の治療方針を決める新技術「偏光感受型光干渉断層計(PS-OCT)」により生体眼で広範囲の強膜の線維構造を可視化することに成功した。国際科学誌「ジャマ・オフタルモロジー」に7日付で掲載されている。

強膜の形状に異常が生じると失明につながる合併症を引き起こすが、これまで生体眼では厚さの測定しかされておらず、線維走行などの詳細を眼球広範囲で行うことは不可能であった。

研究グループは新技術を用いて、生体眼における強膜の線維構造を眼底の広範囲において可視化することに成功した。その結果、強膜は線維構造が異なる内と外層に区別されていると判明した。内層は視神経周囲から周辺に放射状へ走行していること、一方で外層は内層の線維と直行するように垂直方向に向かっていると明らかになっている。

研究によれば強膜の形状が異常になる代表疾患「ドーム状黄斑」では、内層の線維のみが黄斑部に凝集して肥厚したものの、外層線維はむしろ排除され菲薄(ひはく)化していた。正常の状態でも、強膜の内層と外層は全く異なる線維走行を有し、強膜の形状異常をきたす疾患においてもどちらかの層の線維異常が優位に関与することが示されている。

共同グループは「これまで厚さというパラメータしかなかった強膜に対し、生体眼において、眼底広範囲の強膜の層別の線維構造や役割の違いを可視化することにより、神経組織の損傷を起こすような強膜の形状異常の病態の病因解明や新規治療の確立につながる」と意義を説明している。

PS-OCTで観察された強膜繊維の走行
(視神経から放射状に走行する)