文教速報デジタル版

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胆すい内視鏡シミュレーターモデル 東北大と企業と共同開発 出血合併症も再現

東北大学とデンカ、医療機器メーカーのユー・エー㈱との共同研究の成果をもとに、実際の内視鏡と治療用具を用いて、胆管挿管~十二指腸乳頭切開~胆管結石除去の包括的な流れを学習できるシミュレーターを開発した。さらに、推奨されない方向や過剰な乳頭切開時の出血合併症も体験できる。

全体像㊨、乳頭部(左上)と不適切切開時の出血(左下)

実際の電気メスを用いて切開でき、不適切な処置で出血を起こす交換可能な乳頭部分と繰り返し使用でき後方斜視鏡の操作感を再現した管腔部分を組み合わせたシミュレーターを開発した。

シミュレーターは実際の処置同様に乳頭部分を映した内視鏡画面と胆管すい管を造影したX線透視像画面に類似した疑似透視画面を同時にモニターに投影でき、臨床とよく似た画像情報を提供している。

また、合成樹脂やシリコンなどを素材としていることから、動物を用いた練習と比較して、

屠殺(とさつ)や感染リスクの問題解決にも貢献できるという。

研究グループは「患者を対象としない学習方法の確立により、患者安全の推進と内視鏡技術の発展とに寄与する」と評価。今後は「このシミュレーターを用いた、若手医師への教育プログラムの開発とその効果の検証を進めていく」としている。