自動運転技術は私たちの未来社会を大きく変革するポテンシャルを秘めているが、安全性の向上が不可欠。早期段階で脆弱性を特定し、それらを解消することが求められている。慶應義塾大学理工学部電気情報工学科の吉岡健太郎専任講師らは、カルフォルニア大学アーバイン校のアルフレッド・チェン助教授、同校博士課程学生の佐藤貴海と共同で、自動運転用のセンサーが持つ脆弱性に焦点を当てた初めての網羅的セキュリティー調査を実施し、どのような対抗策が必要か明らかにした。
研究では新旧あわせて9種類のLiDARセンサーに対する網羅的な脆弱性調査を行い、新たな攻撃手法「HFR(高周波レーザー除去)攻撃」の実用性を実証。その結果、さまざまな種類のLiDARセンサーで物体消失を起こすことが可能であることを明らかにした。
この研究成果は、自動運転車両のセンサーセキュリティー問題に新たな警鐘を鳴らすとともに、防御策の開発につながる大きな一歩として、自動運転の安全性向上が期待できる。
この研究成果は、2月26日(米国太平洋時間)から始まるセキュリティー分野のトップ国際会議「Network and Distributed System Security(NDSS)」に採択され、論文が掲載された。今回明らかになった脆弱性については各 LiDARメーカーに共有し、一定の対策期間を経て研究成果を公開している。