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光合成微生物シアノバクテリアのたんぱく質「CyRepX」 東京農大研究Gが新発見 産業利用加速ツールに期待

東京農業大学と東京工業大学、静岡大学の研究グループは、光合成微生物「シアノバクテリア」のプラスミド複製に関わるたんぱく質「CyRepX」を新たに発見し、これを用いたベクターを開発した。シアノバクテリアの産業利用を加速させる新たなツールとして期待されている。

シアノバクテリアは大腸菌や枯草菌などのモデル微生物とは異なり、独立して複製できる「プラスミド」を複数持つ種が多く見つかっている。だが、それに関する情報は限られていた。

研究ではシアノバクテリア「PCC 680」のゲノムライブラリーを用いた解析を実施。新たに複製活性を持つ領域を2箇所(slr6031、slr6090遺伝子)見つけた。この2つの遺伝子は共にプラスミド「pSYSX」上に存在しており、配列がそれぞれ酷似していることから同様の機能を持つ遺伝子「ホモログ」であると考えられた。

次にslr6031、slr6090遺伝子を用いて発現ベクターp6031及びp6090を構築し異種のシアノバクテリア「PCC 7942」を用いて複製活性を評価した。p6031とp6090は共にPCC 7942において保持されたことから、Slr6031/Slr6090を新規の複製因子としてCyRepXと命名した。

研究グループは「本研究はシアノバクテリアの基礎研究の発展にも大きく貢献できる」と説明。「シアノバクテリアではプラスミドの複製機構についても情報が乏しく、CyRepXの発見がDNA複製やゲノム科学分野に新たな知見をもたらす」と期待を寄せる。