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免疫応答「LysoPS受容体」 東大教授らが活性型構造の解明 薬剤設計の加速に寄与

東京大学の濡木理教授らの研究グループは、細胞間の情報伝達を担う「リゾホスファチジルセリン(LysoPS)」非天然型誘導体および脂質部分を芳香族に置き換えた代謝安定型作動薬によって活性化した、GPR34と三量体Gたんぱく質Giとのシグナル伝達複合体の立体構造を決定した。GPR34を標的とした新規の薬剤設計が加速しそうだ。

LysoPS受容体の1つと報告されてきたGPR34は免疫細胞を含む広範な細胞で発現し、組織の修復や感染症の抑制などの機能に関与する。だが、GPR34がどのようなLysoPS分子種により活性化されるのか、LysoPSがどのように産生されGPR34に受け渡されて活性化するかは不明であった。

GPR34とGiの構造から、細胞膜に開いた「リガンド」結合ポケットや、天然型のLysoPSを含む作動薬の特徴的な結合様式を明らかにした。また、細胞膜上で産生されたLysoPSが直接GPR34の側面から受容体内部のポケットにアクセスすることが示されている。

研究グループは「本研究の成果から、より効果的な作動薬の設計が可能となり、創薬研究への貢献が期待される」とコメントしている。