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火炎と爆轟を理論的につなぐ 東北大助教らが成功 音速で燃焼するエンジンの実用化に期待

東北大学の森井雄飛助教らの研究グループは、独自に導いた着火と火炎の等価性に関する理論を適用することで反応波を「自着火反応波」として拡張、火炎と爆轟(ばくごう)を理論的につなぐことに成功した。超音速で安定して燃焼するエンジン「超音速燃焼機器」の実用化が期待されている。

燃焼は化学反応が可燃性気体の中を広がる現象であり、それによって生じた波は音速未満の亜音速領域で火炎、超音速領域で爆轟として自己伝播することが分かっている。だが、その速度が音速に近くなるとどのような条件で火炎から爆轟に遷移するかは解明されていなかった。

研究グループは着火と火炎の等価性から、可燃予混合気が着火に至る時間で定義される「着火遅れ時間」と火炎を特徴付ける可燃性予混合気中を伝播(でんぱ)する速度である「層流燃焼速度」に注目した。

これまで着火遅れ時間と層流燃焼速度に関係はないとされてきたが、着火と火炎が同じ構造を持つこと、爆轟速度よりも流入速度が速い条件に安定解が存在することが分かった。この超音速条件での、混合気が燃焼を始める「自着火反応波」を調べると安定した燃焼形態として存在することが判明している。

森井助教らは「着火を上手に適用することで、今まで避けられていた燃えにくい燃料の適用も可能となり、革新的な燃焼器開発につながる」とコメントしている。