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イルカの音響脂肪はもともと筋肉だった 北大研究Gが解明 噛むことをやめることで聴覚が進化

北海道⼤学の松⽯隆教授らの研究グループは、イルカやクジラなどクジラ類の頭部にある「⾳響脂肪」が、陸⽣動物が持つ咀嚼筋(そしゃくきん)などの頭部筋⾁に由来することを解明した。

何かを得る代わりに何かを失う進化の過程を「トレードオフ進化」という。研究グループはイルカもそれをした1種と考えている。

グループはネズミイルカとカマイルカの 2 種において、⾳響脂肪を含むさまざまな組織の解析を実施した。その結果、⾳響脂肪の遺伝⼦発現パターンは、純粋な脂肪と筋⾁の中間的な構造を⽰した。つまり、⾳響脂肪は筋⾁だったと分かる。

クジラ類は⽔中で効率よくエサを採れるように獲物を丸呑みする。グループはそれにより噛むための筋⾁を必要としなくなり、それが⾳を伝える筋内脂肪に取って代わったと分析する。つまり、噛むための筋肉と聴覚進化の間にトレードオフ進化が起きたのだという。

松石教授らは「クジラ類が進化的に霜降り化を選び、⽔⽣環境に適応したという事実は、こうした筋⾁と脂肪の関係について理解する新たな⼿がかりになる」と評している。