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絶滅危惧種「タイワンホトトギス」 西表島と台湾本島で性質が違う? 京大などが調査

京都大学や琉球大学などのグループは、ユリ科の絶滅危惧種「タイワンホトトギス」が、台湾の2系統から個別に西表島と台湾本島に渡来したことが分かった。異なる環境で咲く集団の保全の重要性が示されてこなかったが、研究でその価値を証明している。

研究によると日本に生育するタイワンホトトギスは台湾から西表島に移り、そこから沖縄本島に分布を広げたのではなく、台湾から西表島、台湾から沖縄本島というようにべつべつで拡大していたことが分かった。

また、タイワンホトトギスは台湾では湿った森林内で繁茂する。一方で、西表島のものは滝飛沫がかかる環境にのみ育ち、滝を取り囲む森林内では生育しない。

さらに西表島の集団は、他と比べてゲノム内に蓄積された有害変異の量が多く、脆弱であることが判明した。暗い環境への適応と脆弱性が西表島のタイワンホトトギスの生息域を限定的にしているとされる。

他方で、沖縄本島の集団はより明るい環境に適した光合成特性を持ち、ゲノム変異も全くないといった違いあることが分かった。

研究グループは「本研究の解析によって、日本における絶滅危惧種の1つであるタイワンホトトギスが、異なった経路によって日本に到来し、それぞれが個別にユニークであり、保全価値があることが判明した」とコメントしている。