文教速報デジタル版

BUNKYO DIGITAL

文教速報デジタル版

BUNKYO DIGITAL
ミクログリアの活性化が慢性とう通の原因 名大教授らが明らかに 新たな治療法の開発に寄与

名古屋大学の木山博資教授と常葉大学の研究グループは、線維筋痛症で見られる痛みの原因として、通常意識に上らない固有感覚の持続的な興奮が神経炎症に関わる「ミクログリア」を活性化させて慢性とう痛が生じていることを明らかにした。新たな治療標的に対する効果的な治療の開発が見込まれる。

研究では、線維筋痛症モデルマウスとして知られる、繰り返し寒冷刺激モデルを用いた。昼の間だけ、低温(7度)と室温を短時間で繰り返す環境下で1週間マウスを飼育すると、長期間にわたるとう痛と疲労による活動低下が生じた。一方、マウスの皮膚や筋、血液検査をしても、損傷や炎症を示す遺伝子の発現は全く見られなかった。

この症状は人の線維筋痛症に類似している。研究グループは神経の過活動のマーカーATF3の下流でミトコンドリアを標識する蛍光たんぱくを発現するマウスを開発した。

このマウスで解析したところ、足内筋の筋紡錘から後根神経節内の固有感覚ニューロン、脊髄後角から脊髄前角の運動ニューロン、さらには脊髄で体のバランスをとる「反射弓」に沿った神経回路が蛍光標識された。それに沿ってミクログリアが活性化していることも判明した。

その後、ミクログリアの活性化を抑制するための薬剤を用いて、ミクログリアがこの反射弓に集積しないようにすると痛みが見られなくなった。

研究結果を踏まえて木山教授らは「機能性身体症候群(FFS)の患者さんに共通に見られる慢性とう痛を和らげる治療には、脳や脊髄に存在するミクログリアを標的とすることが有効である」としている。

研究で明らかになった線維筋痛症モデルマウス内の過活動神経回路