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アミノ酸「セリン」は精子形成などに欠かせない代謝産物 理研など3機関発見

理化学研究所と東京学芸大学、京都大学の共同研究グループは、たんぱく質を構成するアミノ酸「セリン」が、ゼニゴケの精子形成や胞子体形成に欠かせない代謝産物であることを発見した。24日付の科学誌「コミュニケーションズ・バイオロジー」に掲載されている。

研究グループは、ゲノム編集技術を使ってセリン生合成に重要な酵素「PGDH」の機能を喪失したゼニゴケ変異株を作製。さらに、電子顕微鏡による細胞形態の観察や代謝産物の解析により、PGDHを介したセリン生合成が精子や胞子体の形成に必須なことを明らかにした。

被子植物シロイヌナズナもPGDHを介して合成されるセリンが配偶子形成に関与する可能性が示唆されていることから、維管束植物とコケ植物が進化の過程で分岐した約5億年前から、セリンの生活活性が植物の生殖に欠かせなかったと考えられている。

研究グループは「この研究で得られた知見は、セリンの生体内恒常性とその役割を解明する突破口になる」としている。