京都大学基礎物理学研究所の木内建太特任准教授(独マックスプランク重力物理学研究所グループリーダー)のグループは、スーパーコンピューター「富岳」を使い、連星中性子星の合体に対する世界最長(合体後1秒間、既存の10倍)の一般相対性論シミュレーションに成功した。
この結果により合体過程で放射される重力波や電磁波の特徴について高精度かつ統一的な理解が得られたことは、合体で実際に何が起こったかを詳細に理解する重要な一歩となる。
2017年、二つの中性子星からなる連星の合体によって重力波および電波、近赤外線、可視光、紫外線、エックス線、ガンマ線に渡る電磁波が世界で初めて観測された。
精緻なシミュレーションは、こうしたさまざまな〝メッセンジャー〟の情報をもとに連星中性子星合体に多角的に迫るマルチメッセンジャー天文学で重要な役割を果たすだけでなく、天文学や原子核物理、素粒子物理学など別分野への波及も見込まれる。
この研究は、柴田大同教授(独マックスプランク重力物理学研究所所長)、林航大同博士課程学生(研究当時、現:同研究所研究員)、関口雄一郎教授(東邦大学)らと共同で行われた。7月7日に米国の国際学術誌「Physical Review Letters」にオンライン掲載された。