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脳波データを使った認知症自動診断AI 阪大研究Gが新開発 8割強の精度で識別

大阪大学の渡邉裕亮特任研究員ら総勢18人の研究グループは、人が安静にしている時の脳波をAIで認識することにより、健常者か認知症患者であるかの識別が可能であることを明らかにした。80%超の精度で健常かそうでないかを識別することに成功している。

研究グループは、3施設の専門医グループがMRI、PET、認知機能テストなどの包括的な診断を行うことで570人の被験者の背景病理を同定。国内最大規模の脳波認知症データセットを構築した。そのデータを利用し、脳波を捉えるように設計されたAIモデルを作製している。

機能を確認すると、1 施設のみで脳波を学習したAIでも、学習に用いていない施設の脳波を識別できることが分かった。健常群と認知症群を81~91 % の精度で識別することに成功したことが確認されている。

さらに、認知症や軽度認知障害の背景病理を推定可能であることを示された。具体的には、軽度認知障害の背景病理がアルツハイマー病群、レビー小体型認知症群、もしくは特発性正常圧水頭症群かを約7割の精度で推定した。

渡邉研究員らは「学習済みのAIモデルが既に一般公開されており、認知症、軽度認知障害の早期発見や介入のための脳波を利用した認知症スクリーニング手法の実用化が加速すると期待される」とコメント。「アルツハイマー病に対する介入治療が注目を集めている現在、有益な判断材料を提供する手段となりえる」としている。

健常か認知症を安静時脳波に基づいてAIが識別