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精巣などの老化が精子に及ぼす悪影響 東大助教らが発見 精子の貯蔵庫の炎症などがDNA損傷につながる

東京大学の遠藤墾助教らによる研究グループは、精子をつくる精巣と精子を貯蔵する「精巣上体」が老化して精子や受精卵の発育に悪影響を及ぼすことを発見した。加齢した精巣上体はDNA損傷を受けやすい内部環境となり、発生率低下の原因となるという。

研究グループは、雄性哺乳類の加齢における子どもを授かるために必要な能力「妊よう性」や精子機能の変化とそれぞれの相関性について、雄マウスを用いて解析。これらの変化の特定とその原因究明を試みた。

雄マウスを若齢期から老齢期まで、若い雌と交配させ続けたところ雄の加齢とともに雌が出産する子の数が減少しており、これに雄の交尾頻度や雄性ホルモン「テストステロン」量は関連していなかった。

そこで次に、精巣と精巣上体に着目したところ、それぞれの体細胞で老化細胞による両器官の炎症が確認された。したがって、精巣や精巣上体の老化による機能低下が、妊よう性が落ちる原因であると考えられている。

研究グループは「本成果は、雄の加齢と妊よう性、及び精子の質・量の低下との相関性、さらにその実態を生物学的に解明した重要な発見である」と評価している。

加齢した雄マウスの精巣・精巣上体に存在する精子(生殖細胞)と
体細胞の加齢影響