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雌性発生したロシアチョウザメから超メスを選抜 近畿大等の研究Gが成功 成功養殖キャビア生産効率向上につながる研究成果

■研究のポイント□

◎ロシアチョウザメのZ染色体及びW染色体のDNA配列を検出するPCR検査法を開発

◎雌性発生によってW染色体だけを持つ超メスを作出し、全メスの生産をめざす

◎研究成果を用いて全メスの生産が可能になれば、雌雄判別が不要となり、養殖キャビアの生産効率向上にもつながる

宮崎県水産試験場内水面支場と近畿大学大学院農学研究科の研究グループは、ジャパンキャビア㈱(宮崎市)の支援を受けて、ロシアチョウザメのZ染色体とW染色体のDNA配列を検出するPCR検査法を開発し、雌性発生させたロシアチョウザメの中から、W染色体だけを持つ超メス候補を選抜することに成功した。

この研究成果を用いて、超メス候補から全てをメスとして生産(全メス※3化)できるようになれば、雌雄判別作業が不要となり、養殖キャビアの生産効率が大きく高まることで、大幅なコスト削減が期待される。

宮崎県水産試験場と近畿大水産研究所は、チョウザメの全メス化技術の開発を目的として、令和5年(2023年)4月から共同研究を実施している。

この研究は、宮崎県水産試験場内水面支場(宮崎県小林市)支場長の中村充志氏、主任研究員の中西健二氏、主任技師の三木涼平氏、技師の入木田敦氏と、近畿大水産研究所新宮実験場(和歌山県新宮市)准教授の稻野俊直氏、助教の木南竜平氏、近畿大大学院農学研究科(奈良市)水産学専攻博士前期課程1年の加納達海さんらにより行われた。

■高級キャビアとして世界的に注目

ロシアチョウザメは、カスピ海とその流入河川に分布する中型のチョウザメで、この種類から採卵された「オシェトラ」は中粒キャビアとして有名。オシェトラはバランスの取れた味わいで、高級キャビアとして非常に評価が高いことから、キャビアを量産するための重要な養殖対象種として、世界的に注目されている。 ロシアチョウザメは、養殖の場合、ふ化後7年程度でキャビア生産が可能になり、外見では雌雄を見分けることができない。そのため、生殖腺が発達するまでの数年間はオスも飼育する必要があり、キャビアの生産効率の低さが大きな課題となっている。

雌性発生したロシアチョウザメ