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真空蒸着可能な「フラーレン誘導体」を用い 名大教授らが「ペロブスカイト太陽電池」開発 光電変換素子の発展に貢献

名古屋大学の松尾豊教授らの研究グループは、真空蒸着プロセスに使用でき形態的に安定な蒸着膜を与える「フラーレンの誘導体」を開発した。これを電子輸送層に用い、耐久性が高い次世代太陽電池「ペロブスカイト太陽電池」を作製している。光電変換素子の発展に寄与する可能性もある。

フラーレン誘導体の薄膜は、真空蒸着直後も150度に加熱した後も結晶性が欠如した「アモルファス」薄膜であり、加熱により膜の形態が変化しない。このような形態安定性は次世代太陽電池「ペロブスカイト太陽電池」の耐久性向上に寄与した。

通常のフラーレン(C60)を用いたペロブスカイト太陽電池ではC60の結晶化のために薄膜形態が変化し、作製直後から性能が低下した。だが、今回作製したフラーレン誘導体を用いたペロブスカイト太陽電池では、このような特性低下は見られなかった。

研究グループは「今回の研究成果は、普及における最大の課題であった耐久性の向上を実現したことで、実用化へ貢献することが期待できる」と評価。「有機薄膜太陽電池や有機光ダイオードなどの光電変換素子の発展にも寄与する」としている。