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JAMSTEC 「浮遊性有孔虫」の殻密度と殻重量を高精度に計測する方法を世界に先駆けて開発

海洋研究開発機構(JAMSTEC)の木元克典主任研究員らは、東北大学などとの共同研究を行った。マイクロフォーカスX線CT装置(MXCT)を用いて、世界の海洋に生息する微小な動物プランクトン「浮遊性有孔虫」の殻密度と殻重量を高精度に計測する方法を世界に先駆けて開発したと21日に発表している。

海洋酸性化は人間の生活にも関係の深い環境問題だが、海洋の食物連鎖を支えるプランクトンがどのような影響を受けているかを定量的に計測するための方法論と指標がこれまでなかった。

研究ではMXCTを使ってこれまで以上にプランクトンの殻の形態と密度を精密に取得する方法の開発に取り組み、その対象には浮遊性有孔虫をあげた。実験の結果CT値はプラスマイナス0.9%という高い精度での計測に成功した。また、重量計測もプラスマイナス1.3%の誤差で割り出している。 研究グループは「堆積物中の有孔虫化石などについて、本研究手法を適用することで、その殻に記録された過去の海水の酸性化の強さを調べることも可能となると期待できる」としている。

海洋微小プランクトンの計測による海洋酸性化の実態解明と将来予測のイメージ石灰質の微小な殻への影響を検出することが可能になると、海洋酸性化や環境変化に対する石灰化生物への影響を正しく理解することができる。さらにその影響を定量化することで、近い将来の石灰化生物の生産量予測や、物質循環に与える影響もこれまで以上に高い確度の予測が可能となる