長崎大学の高村昇教授らが福島第一原子力発電所から生じる処理水の海洋放出に対する周辺住民の認識や懸念について解析した研究論文が国際学術誌「BMC Public Health」に掲載された。論文では処理水放出について約4割が賛成する一方で、3割が反対している実態を明らかにしている。
研究では福島第一原発の周辺自治体住民に処理水の海洋放出の是非について住民に回答を求めた。約40%の住民が賛成、29%が反対、31%が分からないと回答。住民の意見が分かれていることを示している。
さらに統計解析の結果、性別、就業状況や放射線被ばくによる健康影響への懸念が処理水に対する不安の有無に関連することを示した。
高村教授は「風評影響への対応を進めるためにも専門家と住民とのリスクコミュニケーションを通じて、処理水に対する不安の払拭、科学的根拠に基づいた継続的な情報の発信を促進が重要であることが示唆された」としている。