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複数光子の量子状態の実現と検証 京大院生らが初成功 光量子コンピュータ―に貢献

京都大学の朴渠培(パクコベ)博士課程学生らの研究グループは23日、広島大学と共同で単一光子源と線形光学素子のみでは実現が不可能な量子状態(非フォック状態)の存在を理論的に明らかにしたと発表した。光量子回路を用いて最も本質的な非フォック状態(iNFS)を実現し、iNFSに特徴的な性質を用いて生成の検証実験に初めて成功している。

これまで研究では、半透鏡(ビームスプリッタ)などの「線形光学素子」に複数の単一光子を入射して量子状態を制御する方法が用いられてきた。だが、このような方法によって、任意の多光子多モード状態を実現しうるのかについてはよく分かっていなかった。

研究では、単一光子源と線形光学素子のみでは実現が不可能な多光子多モード状態(非フォック状態)の存在を理論的に突き止めた。また、生成が最も困難であるiNFSの一種を独自に開発した「フーリエ変換光量子回路」を駆使することにより実現。iNFSは含まれる光子を検出しても、残りの光子が複数の経路の重ね合わせ状態に存在する不思議な性質(条件付きコヒーレンス)を見いだした。

研究チームは「研究成果は、より効率的な光量子コンピュータや光量子シミュレーション、高い感度を持った光量子センシングにつながると考えられる」とし「将来的に、高度なセキュリティを備えた安全安心な暮らしや、新規化学物質の開発などへ応用もできる」とコメントしている。

実現した多数の光子による複雑な量子状態の生成と検証方法のイメージ図