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絶滅危惧種「タガメ」の新たな自然集団 長崎大准教授らが九州で発見 集団的多様性保全へ重要な成果

長崎大学の大庭伸也准教授らの研究グループが8日、熊本県南部地域で特定第2種国内希少野生動植物種に指定されているタガメの新たな自然集団を発見した。九州のタガメを保全する上では、極めて重要な発見だという。

タガメは水田や池沼などの止水環境に生息しており、かつては日本列島に広く分布していた。だが、都市化や水田の整備、農薬の使用によりその生息地は激減。現在は限られた地域にのみ生息する希少種となっている。

研究グループはタガメを保全するために保全地を作り、個体数を維持してきた。そして、そこで増えたタガメを別の池などに移すことで、新たな生息地を形成する試みも行っている。そうした活動をする中で、これまで放流などを行ってこなかった新たな地点でタガメを確認した。

保全地から移動した個体か、それとも人知れず生き残ってきたのか―。DNAで分析すると、自然集団である可能性が強く示唆された。研究グループは「九州でこのような集団が発見されたことは、集団的多様性を維持する保全活動をしていく上でも大変重要」とコメントしている。