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「水素原子の流れ」を動画として撮影 東北大助教らが技術を世界初開発

東北大学の柿沼洋助教らは、光学顕微鏡と水素原子に反応して色が変わる高分子を用いて新しい水素観察手法を開発。広い視野における金属中の水素原子の流れを高空間分解能で動画として撮影する技術の開発に世界で初めて成功したと27日に発表した。

水素社会を支える高機能の金属材料を開発するには、金属と水素の相互作用を理解することは重要だ。ところが、これまでの技術では金属中の水素原子の流れを観察することは難しく、金属のミクロな構造と水素のふるまいの関係は不明瞭であった。

研究では純ニッケル(Ni)箔中を流れる水素の観察を行った。純Ni箔に侵入した水素は濃度勾配を駆動力として拡散し、導電性高分子「ポリアニリン」が成膜されている純Ni箔

の反対側に到達する。ポリアニンは水素原子と反応して変色するため、光学顕微鏡で解析できる。その結果、結晶粒界を優先的に拡散することが判明した。

さらに、水素の拡散は結晶粒界の種類によっても異なることが明らかになった。これは、純Ni中の水素原子の拡散はNi原子の配列に依存し、幾何学的な空間が大きい粒界ほど水素の流れる量(水素の流束)が大きくなることを示唆している。

研究グループは「これらの結果は金属材料の原子レベルの構造的特徴と水素のふるまいの関係を実験的に明らかにした重要な情報であり、従来手法では達成できない高空間分解能、高時間分解能の水素観察技術によって初めて得られたもの」としている。