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東日本大震災は健康格差に影響を与えたのか? 医歯大の研究者らが調査

東京医科歯科大の木野志保講師らはハーバード大学などと共同で、東日本大震災による津波の被害を受けた地域と大きな被害を免れた場所と比較して、高齢者の健康格差が拡大したかを検証した。津波被害は健康格差を悪化させていないことが明らかになっている。

研究では、震災や津波で被害を受けた地域在住の高齢者コホート(岩沼研究)とそうでなかった自治体の高齢者コホート(日本老年学的評価研究)のデータを使用。それぞれから2010年(震災の7カ月前)の参加者から震災前の情報を収集し、13年、16年、19年に震災後の情報も集めた。

経済的要因による健康格差の震災前と後の傾向を調べ、大きな被害を受けた岩沼市とそれ以外の地域における健康格差の震災前後の変化を比較した。

その結果、健康格差の大きさは震災後に変化していなかったことが分かった。このように、東日本大震災およびそれに伴う津波被害は、高齢者における健康格差の既存のパターンを悪化させていなかったことが明らかになっている。