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「異方性磁気トムソン効果」 物材機構が観測に成功 磁気で熱エネルギーを制御する機能の発見などに期待

物質・材料研究機構(NIMS)は、温度差を付けた導電体に電流を流すと温度差と電流に比例した吸熱や発熱が生じる現象 (トムソン効果) が、磁性体においては磁化方向に依存して変化する「異方性磁気トムソン効果」の観測に成功した。基礎物理および物質科学のさらなる発展や、磁気で熱エネルギーを制御する新機能の発現が期待されます。

トムソン効果は金属や半導体における基本的な熱電効果の1つとして古くから知られている。効果による熱電変換能は一般的に小さく、その評価手法も十分に確立されていなかった。そのため磁場や磁性にどう影響されるかは明らかにされていなかった。

研究チームは、ロックインサーモグラフィ法と呼ばれる熱計測技術を用いて、強磁性合金Ni95Pt5に温度差を与えながら、電流を流した際に生じる温度分布を精密に測定し、磁化方向によりトムソン効果がどう変わるかを検証した。

その結果、Ni95Pt5合金に生じる吸熱もしくは発熱量が、電流と磁化が平行な場合はそれぞれ垂直な場合よりも大きいことを明らかにした。この振る舞いは磁性体におけるゼーベックやペルチェ効果の測定から予想される変化と一致している。

NIMSは「今後、異方性磁気トムソン効果に関する物理、材料、機能探索を進めることで、熱や電気、磁気の相互作用がもたらす新しい物理現象の観測や電子デバイスの省エネルギー化に資する熱マネジメント技術への応用展開を目指していく」としている。