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新型コロナ禍の若者のメンタルヘルス状態は? 国際医療センターが約2000人対象に調査 男子の増悪が顕著、支援の充実を

国際医療研究センター(NCGM)の細澤麻里子主任研究員らの研究グループは、新型コロナウイルス感染症禍をまたいで実施された16歳に関する東京大学などの調査データを用いて、コロナ禍が思春期世代のメンタルヘルスに与えた影響を分析した。また、性別や時期によって影響が異なるのかについても検討している。

分析では東京近郊に住む16歳の子ども約2000人にアンケートを実施。コロナ禍である2020年3月~21年9月までのメンタルヘルスをコロナ禍前である19年2月~20年2月と比較した。

それによるとコロナ禍中はその前よりも抑うつ病状及び精神病様症状が年齢による自然な変化を上回る増悪を認めた。女子よりも男子に顕著であった。

抑うつ症状をコロナ禍の時期別に確認した結果、男子は学校閉鎖期間後の20年6月~21年9月にかけて少しずつ悪化していた。女子では、学校閉鎖期間である20年3~5月に抑うつ症状が改善したが、再開された後にはコロナ禍前と同水準に戻っていた。

研究グループは「援助希求をしやすい環境作りを含めた思春期世代のメンタルヘルスに対する支援策を充実させていくと同時に、コロナ禍が子ども達のメンタルヘルスに与えた影響について長期的にみていく必要がある」と分析している。

男女別のコロナ禍前群とコロナ禍群における抑うつ症状の推移