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医薬、半導体原料の連続生産への新ツール 東大研究Gが「立体選択的C-H結合化学変換」を不均一触媒で実現

東京大学の小林修教授らの研究グループは24日、有用な有機合成反応である「立体選択的C-H結合化学変換」を活性種が固定化された触媒「不均一触媒」を用いるフロー反応で実現した。医薬、農薬、半導体原料などの精密化学品の連続生産に向けた新たなツールとなることが期待される。

キラル遷移金属触媒を用いるC-H結合化学変換反応は、有機化合物に普遍的に存在するC-H結合を効率的に分子骨格に変換する合成手法として注目されている。これまで、反応で用いる希少金属触媒は使い捨てていた。研究では触媒を担体上に固定化することで、分離・再使用が可能となり生成物が連続的に得られるフロー反応を実現した。

開発した触媒は、生成物への金属種の混入が完全に抑制されるだけでなく、これまでの触媒を大きく上回る触媒回転数を記録した。さらに、フロー反応を軸とする連結反応を行い、医薬品原体や機能性化学品の中間体の連続合成を達成した。

研究チームは「研究で開発した触媒固定化手法は中心金属種や配位子に依存しない汎用手法であり、この研究成果は遷移金属触媒反応に適用できる」とコメントしている。