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CO₂を選択的に捕捉することのできる金属有機構造体 東工大教授らが開発、温暖化対策に貢献

東京工業大学の河野正規教授らの研究グループは、従来の吸着機構とは全く異なる「Magic door」機構によりCO₂を選択的に捕捉することのできるMOF(金属有機構造体)を開発した。地球温暖化対策に貢献できるという。

研究で開発したMOFは相互に結合されていない孤立空間(隣の細孔と接点を持たない細孔)を有する。CO₂が通過する瞬間のみMOFのフレームワーク構造が微細変化することで、CO₂が隣接した孤立空間の間を移動できる通路があたかも扉が開くように現れ、移動後に通路は消失する。

これにより、通常は外部と接点を持たない孤立空間へCO₂を貯留することができる。その構造変化の際の活性化エネルギーの差により選択性を発現する「Magic door」機構を見出した。

高いCO₂選択性と物理吸着レベルの小さなエネルギーでの脱離の両立が実現した。この新たな機構は単結晶X線構造解析、分光学的解析に加え、AIを用いた汎用原子レベルシミュレータ「MatlantisTM」により検証した。

研究グループは今後について「本共同研究で明らかになった新規なMagic door機構は、CO₂分離回収技術において新たな扉を開くことができた」と述べている。