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たんぱく質の分子骨格が「実は持っていた知られざる機能」 茨城高専教授らが明らかに 新薬開発の貢献に期待

茨城工業高等専門学校の千葉薫教授らの研究グループは、生体高分子用単結晶中性子回折装置-3(BIX-3)を用いて、ヒトリゾチームの中性子結晶構造解析実験を行なった。本研究の結果は、迅速な新薬開発にむけたたんぱく質の新たな分子デザインにも大いに役立つと期待されている。

研究グループは、中性子で観測された水素や重水素イオンにより、同じ平面として扱われてきたペプチド結合の平面性が緩和されることを発見した。核磁気共鳴(NMR)法で観測した   ¹⁵Nのケミカルシフトデータから、平面性が失われたペプチド結合では電子共鳴構造が壊れていることが示された。

ペプチド結合の平面性はたんぱく質の構造研究を支えてきた基本概念だ。たんぱく質の分子内静電ポテンシャルを計算するだけで予測できるペプチド結合の化学的性質の変化を取り入れることで、超高分解能データを得ることができないたんぱく質でも、構造や性質を正しく理解して利用することができるようになると考えられる。

研究チームは今後について「ペプチド結合が柔らかくなるという現象が、生命活動の中でどのように利用されているかを探究するとともに、この原理を生かしたタンパク質分子デザインの実現にチャレンジしていきたいと考えている」と説明している。