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大阪公立大の研究G 有害物質を有用分子に変える新技術 大阪公立大が教授らが手法開発

大阪公立大学の大橋理人教授らの研究グループは14日、多数のフッ素原子を持つ電子受容性の強い含窒素ヘテロ環カルベン(NHC)を合成する手法を開発したと発表した。パーフルオロアルキル化合物(PFAS)からNHCを作り出している。

大橋教授らの研究では、電気陰性度が最大かつサイズの小さいフッ素原子を多数持つ含フッ素NHC の開発について合成から電子状態の研究、及びそれを支持配位子とする遷移金属錯体を用いた触媒反応へ応用した。

今回合成した含フッ素NHCはテトラフルオロエチレンやヘキサフルオロベンゼンといった 1,2-ジフルオロアルケン類縁体から二つのフッ素原子の脱離を経て得ることができる。また、フッ素原子の小ささゆえにカルベン炭素周辺の立体環境の変化を最小限に抑えつつカルベンの電子受容性を高めることに成功した。

さらに、NHC配位子を持つ金錯体を用いた求電子的な分子活性化を鍵とする触媒的変換反応において、含フッ素NHCが従来のNHCと比べて触媒の活性を向上させることを実証している。

研究グループは「研究成果は、NHCおよびそれを配位子とする遷移金属錯体の電子状態と立体環境を独立してチューニングする新たな指針を提供するもので、PFASの新たな利用法を開拓した重要技術」と説明。「今後さらなる構造修飾などを経て、触媒や発光材料への応用といった幅広い展開が期待される」としている。

研究の概要図