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広島大研究Gが新化合物KA57D1、KA57D2の蓄積を発見 窒素などの創成に期待

広島大学の荒川賢治准教授の研究グループは、東邦大学との共同研究により放線菌 「Streptomyces rpchei 7434AN4」株の三重遺伝子変異株(KA57株)からアゾキシアルケン化合物KA57Aに加え、吸収極大の異なる2つのUV活性化合物KA57D1、KA57D2の蓄積を発見した。新たな窒素、窒素含有化合物の創成につながる可能性もある。

研究グループがKA57株を培養したところ、アゾキシアルケン化合物KA57Aに加え、2つのUV活性化合物が検出された。これらを「KA57D1」「KA57D2」と命名。極大吸収波長は218ナノメートルであり、KA57Aが236ナノメートルであったことを考慮すると、KA57Aと異なる分子団を持つことが示唆されたとしている。

KA57D1、KA57D2の生合成起源を明らかにするために、同位体標識化合物の取り込み実験を行ったところ、KA57D1のβ位窒素(Nβ)の起源はグルタミン酸、イソブチルアミド基はバリン由来であること、KA57D2の2-メチルブタンアミド基はイソロイシン由来であることを立証した。

KA57A、KA57D1、KA57D2はいずれも窒素・窒素結合を有しており、KA57A、KA57D1、KA57D2のα位窒素(Nα)の起源(セリン、バリン、イソロイシン)がいずれも異なる点を考慮すると、窒素・窒素結合形成酵素の基質認識が寛容であることが分かった。

今後について「本菌の窒素・窒素結合形成酵素は少なくとも3つのアミノ酸を認識可能であることが分かった。本酵素がこれら以外のアミノ酸を認識することで、新たな窒素、窒素含有化合物の創成が期待できる」としている。