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たんぱく質ファミリー「Anax10」が糖尿病の新たな未病マーカーとなる可能性 東京理大研究Gが発見

東京理科大学の松島綱治教授らの研究グループは13日、糖尿病モデルマウスの解析により発症初期にすいβ細胞では血糖値の上昇に伴いたんぱく質ファミリー「Anax10」の発現が増加することを発見。これが細胞内カルシウム恒常性に影響を及ぼしてインスリン分泌能を低下させることを見いだした。Anax10は新たな未病マーカーとなる可能性がある。

日本の糖尿病患者と予備軍はあわせて約2000万人に上るといわれ、発症予防や治療法などの確立が喫緊の課題だ。大部分を占める2型糖尿病はすい臓のβ細胞のインスリン分泌の低下などにより起こされるが、いまだ不明な点が多く残っている。

研究では2型糖尿病の発症過程において、2型糖尿病モデルマウスの膵島(すい臓でインスリンを作る組織)の解析を行った。β細胞、α細胞、δ細胞など20種類の細胞クラスターを確認するとともに、モデルマウスのすいβ細胞は病態の進行に伴い6種類の集団に分類されることが分かった。

研究グループは時間による細胞状態の移り変わりを解析した。糖尿病の進行により変化する細胞経路の1つが、β細胞が脱分化後にすい腺房様細胞に分化転換する新規のルートであることを見いだした。さらに、発症初期のすいβ細胞で特異的に発現が増加する遺伝子として、カルシウム及びリン脂質に結合するたんぱく質ファミリーの1つであるAnxa10を発見した。

Anxa10とすいβ細胞および糖尿病発症との関連はこれまで報告がない。Anxa10が糖尿病に至る前の新規未病マーカーとなる可能性がある。また、本遺伝子の発現はインスリン分泌能を低下させることを明らかにした。

研究グループは「これらの知見は、2型糖尿病発症初期の分子機序の解明や新規の予防や治療法の開発に寄与すると期待される」としている。